先週金曜日(16日)に東京文化会館小ホールで、レジス パスキエのレクチャーコンサートを聴きました。
プログラムは、フォーレ、ドビュッシー、ラベル、サン サーンスのヴァイオリンソナタでした。レクチャーコンサートなので、お話が間に入っています。
録音では何度も聴いていますが、生演奏は初めてなので、何日も前から楽しみにしていました。
フランスの至宝、と称えられているのは知っていましたが、本当に何から何まで素晴らしくて、なんと表現してよいかわかりません。
演奏は、すごく良かった!!としか書けません。なので、お話してくださったことについて書きます。
パスキエのお父さんは1902年の生まれだそうです。パリ高等音楽院の校長先生もされた音楽家だったそうです。それで、ドビュッシーとお知り合いだったり、その時代の名だたる音楽家がとても身近な存在だったそうです。パスキエはそんなお父さんから、音楽家たちのお話をたくさん聞いたそうです。
フォーレは、ラベルの先生でやはりパリ高等音楽院の校長先生をしていたそうです。フォーレの音楽がとても複雑なのは、フォーレが化学好きだった事と関係があるそうです。ベートーヴェンと同じように耳の病気にかかってしまい(同じ病気ではないそうですが)、だんだん耳が聴こえなくなっていったそうです。そのことがハーモニーのサイエンスに繋がっていったそうです。
ドビュッシーは、フランクの弟子だったそうです。パスキエのお父さんはドビュッシーの話をよくしたそうです。フォーレとは全く違い、情景を音にした音楽家であり、フランクから教わったことと全く違う方法で作曲したがったそうです。海が好きで、一日中ノルマンディーの海を見て過ごすこともあったそうです。その時代のクラシックな書法に反抗して、新しいスタイルを創ったところは、ロートレックと似ている、とおっしゃっていました。
ラベルは若い頃に体が弱かったために、音楽家として活躍した年数は短いのですが、世界中で最も知られている作曲家ではないですか?ボレロのおかげで。と笑わせてくれました。多くの文豪家と交流があって、ミステリアスで、オーケストレーションがうまくて、とにかくと〜ってもいい人だったそうです。このヴァイオリンソナタは、3楽章あるけれども、3つが全然違う内容になっているのが面白いとおっしゃっていました。1楽章は夢を見ているよう、2楽章はジャズ、3楽章はト長調のピアノコンチェルトにとてもよく似ていて、ほとんどピアノがメインでヴァイオリンはずっと細かい音を弾いている、のだそうです。
サン サーンスは、ベートヴェンが大好きで、それでマドレーヌ寺院のオルガニストになったそうです。書法はドビュッシーのように新しい方向を目指したのではなく、とても正統派。そして、様々な楽器のための曲を作っています。小さい頃は天才児と呼ばれたそうです。サンサーンスの晩年のエピソードです。子どもだったレジスさんが、とあるピアノが置いてあるカフェでお父さんといた時のこと。お客さんとして来ていた老人がおもむろにピアノを弾き始めたそうです。その人がサンサーンスだったそうです。サンサーンスは、評論家としても活躍したそうですが、好きな音楽家のことは応援したそうですが、嫌いな音楽家のことは平気で悪口を書いたそうです。
もしかしたら、記憶違いなところもあるかもしれませんが、こんなお話をしてくださいました。
パスキエの話し方は、声が優しくて、心がこもっていて、とても落ち着くリズムがありました。フランス語はわからないけど、きっと、人柄も音楽と同じように円熟した素晴らしい方なのだろうなと感じました。
ピアニストは池田珠代さんとおっしゃる、若い日本人の女性でした。パリで活躍されているそうで、通訳もしてくださっていました。繊細な感じで、出過ぎず乱さず、でも、しっかり主張してパスキエと対等に音楽していて、すごいなと思いました。
アンコールにはラベルのハバネラを弾いてくれました。おやすみなさいのかわりに弾きます、、、というステキなコメント付きでした。
パスキエの演奏会が、12/4に横浜市港南区の上大岡にある、ひまわりの郷というホールであるそうです。お近くにお住まいの方はぜひ、聴きに行ってみてください!!こんな大家の演奏を、近所で聴ける機会はそうそうないと思います。モーツァルト、シューマン、バルトーク、ラベルの曲を演奏されるようです。(問い合わせ 045-848-0800 ひまわりの郷)