ヴァイオリンを弾けるようになるためには、練習をしなければなりません。練習の習慣をつけることは、始めたばかりの時の最も重要な宿題です。小さなお子様にとって、一人でやりなさい、と要求をするのは無理です。そこで不可欠なのが保護者の方のサポートです。
ところが親子での練習は、時に大変なことがあります。お互いに遠慮がないため、感情のぶつけ合いになってしまうことがあります。最悪の場合、親子共に、こんなに嫌な気持ちになるのならやめてしまいましょう、とヴァイオリンを弾くことをやめる事態が起きてしまいます。保護者の方の上手になって欲しいという願いと、うまく弾きたいけど、練習より楽しいことに時間を使いたい生徒さんの気持ち。両者の希望が噛み合う練習の方法があれば良いのですが、そこは人間同士のことのため難しく、マニュアルもありません。
『お家ではお母さんが先生ですよ。だから、お母さんに教えてもらってください。』よく耳にする話ですが、私は違うと思っています。小さい時はお母様にはレッスンに同行していただき、レッスンの内容をお子様と一緒に理解していただきたいと思っていますが、お家で教えることはお願いしません。保護者の方に先生役をお願いするのは、負担が大きすぎて無理だと思います。お子様が、あまりにも間違った弾き方をしていたり、適当に弾いている時には、レッスンではそんな風に弾いていなかったよ、とか、集中して弾いた方が良いよ、と注意をしていただきたいのですが、お子さんが集中して、本人なりに一生懸命に弾いていたら、多少上手に弾けていなくても、練習していることを認めて、見守って欲しいと思います。上手く弾きたい気持ちがあるから練習しているのです。どうしたら良いと思う?と助けて欲しそうな時や、うまく弾けない、と気持ちが落ちている時には、アドバイスをしてあげてほしいです。そうでなければ、とにかく見守って認めてあげて欲しいです。そして、どんなに練習が上手くできなくても、お母様がイライラしたとしても、練習が終わったら、頑張ったね、と褒めて欲しいと思います。
ピアノの先生をしている友人から、娘さんとの練習の時、どんなにバトルになっても、終わったらハグをして、お互いに気持ちを切り替えるようにしている、と聞いたことがあります。良い方法だなと思います。
一緒に練習すること、一緒に頑張ること、そして一緒に達成感を味わうこと。習い事をしたから体験できる親子のコミュニケーションを楽しんでいただけるよう、レッスンの時に練習の内容をわかりやすく伝えることが私の役目だな、と思っています。

3歳の女の子のレッスン4回目。四分音符と二分音符を覚えました!音のお名前はラ。一つづつ、知識と技術を増やしていきます。彼女の宿題は、毎日、ヴァイオリンのケースを開けて、ヴァイオリンさんと会うことです。今のところ、頑張って続けている様子です。えらいです!!