ジェラール プーレ

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9月6日に東京文化会館小ホールで、ジェラール プーレの演奏を聴きました。

プログラムは、モーツアルトのヴァイオリンコンチェルト第7番とヴィヴァルデイの四季でした。

かなりの高齢だと思うのですが、自由自在に楽器を操り、変幻自在に音色を操る演奏を聴いて、すっかりプーレさんの魔法にかかってしまいました。

けっして大きな音ではないのですが、柔らかくて伸びと輝きのある音色でいろいろな景色を見せてくれて、太陽や嵐や北風、木や動物や人間を感じることができました。

右手の弓の操作が素晴らしく、みとれてしまいました。

無駄な力がどこにも入っていなくて、弓のどの部分でもまるで自分の手のように、自由に使っていました。

四季で通奏低音を担当していたチェリストの古谷田祥子さん曰く、、、練習の時と本番とで全く演奏が違うの!ついていくのに必死だったよ〜。きっとプーレさんって音楽みたいに生きてきたのでしょうね、、、

心も演奏も自由人、ということでしょうか。

そういえば、新百合ケ丘でプーレさんをみかけた知人が、背中に弓をさして(担いで)自転車で走ってたよ、と言っていました。

ステキな方ですね♪

幸せな晩でした。

発表会終了

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1日に発表会が終わりました。

今回は発表会は初めての生徒さんが多かったのですが、みんな堂々と演奏していました。

始めて数ヶ月でも、こんなに立派に弾けるのね!と伴奏をしながら驚いていました。

何度も舞台での演奏を経験している生徒さんたちは、怖さを知っている分、準備をしっかりしていました。実力を見事に出せていました。

この経験を生かして、次の目標にむけて頑張ってほしいです。

聴きに来てくださったお客様、主催してくださったピアノの塩山先生、マリンバの磯田先生、ゲストの方、ホールの皆様、協力してくださった生徒さんのご家族の皆様に心からお礼を申し上げます。

カール ライスターを聴く

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IMG_2363昨日、大手町の日経ホールでカール ライスターの演奏を聴きました。ベルリンフィルで長い間ソロクラリネット奏者として活躍された、世界を代表する巨匠です。

74歳の巨匠と、28歳の佐藤卓史さんとおっしゃる若いピアニストの競演で4曲(メンデルスゾーン/クラリネットソナタ、シューマン/幻想小曲集、ダンツィ/クラリネットソナタ、ブラームス/クラリネットソナタ第2番)、佐藤さんのピアノソロで3曲(シューベルト/即興曲、リスト/愛の夢、シューマン/献呈)、というプログラムでした。すべてドイツロマン派の作曲家による作品です。

最初のメンデルスゾーンのソナタが始まった途端に、頭の中に木漏れ日の暖かい森の風景が浮かび始めてしまい、それからはずっとビルの建ち並ぶ大手町ではなくて、どこかの自然の中でくつろいでいるような時間を過ごしました。

ライスターさんの音と音楽は、とても心地の良い、当たり前にある風景の中で、当たり前の日常が営まれているような感じがしました。どの曲も温かく、熱いのだけど力んでいない、自然な時の流れにたゆたうような感じです。

また、楽器の吹き口に被せるキャップを取ったり付けたりする動作、管の中を掃除する動作、そして音楽、すべてが音や楽器や音楽に敬意をはらうような所作になっているのを見て、一時が万事なのだな、と我が事を深く反省しました。

ピアニストの佐藤さんの演奏は初めて聴きましたが、ドラえもんのようなまぁるい風貌からは予想できなかった、繊細で優しい音のピアニストでした。どんなに熱くなっても、とがった音ではなくて、響きのある丸い音でした。ピアニストが熱くなりすぎてしまうことが多いブラームスを、あれだけ繊細にクラリネットに寄り添えるなんて、余程の技術と心のコントロールが出来る人なのでしょう。どの曲でも、とにかくp(小さい音)が美しかったです。ソロもアンサンブルもできるピアニストは貴重ですから、これから世界中で引っ張りだこになるのではないでしょうか。

アンコールで、シューベルトのアヴェマリアを吹いてくれました。演奏の前に「福島のみんなのために演奏します。」と日本語でお話してくださり、涙を流していらっしゃいました。有り難くて、わたしも涙が出てしまいました。心に染みる演奏で、また涙が出ました。吹き終わった後、しばらく立ち上がらなかったのは、お祈りをしてくださっていたのでしょうか。。。日本のために、世界の巨匠が想いを込めて演奏してくださったことを忘れることはありません。ありがとうございます。

人は、年と共に体は老いていくけれど、精神は成長を続ける、と聞いた事があります。音楽でなくても、それぞれがそれぞれの人生の中で、揺るぎない自信に裏付けられた平安を得ることを目指して暮らしていったら、世界がより良く変わるのかもしれないな、なんて思いました。わたしも自分に持たされた、ささやかなささやかな能力を使って、大事に大事に仕事をして、音楽をして、心の豊かな老人になりたいと思いました。

レクチャーコンサート〜マリンバ〜

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IMG_00069月にパスキエのレクチャーコンサートを聴いて、演奏だけではなく、演奏者の生のお話を聴ける楽しさを味わったので、同じシリーズの安倍圭子さんのマリンバのレクチャーコンサートに行ってきました。

恥ずかしながら、マリンバについてほとんど何も知らなかったので、すべてが新鮮でした。

1956年、キリスト教普及のためにアメリカから来ていた宣教団が日本に楽器を持ち込んだのだそうです。

演奏者の安倍圭子さんは、教会で聴いたマリンバの音色に魅了され、1962年から演奏活動を始めたそうです。この日の会場でもあった東京文化会館の歴史と同じなのだそうです。

安倍さんがマリンバを始めた当初は、マリンバ独自の作品が無く、ヴァイオリンやフルートの曲をアレンジして、ピアノの伴奏で演奏することが多かったそうです。なぜ、マリンバのための曲が無いのだろう?と疑問に思い、あって然るべきと考えた安倍さんが、いろいろな作曲家に依頼して、また、作曲家に支払う予算を獲得するために、あちらこちらの企業に働きかけて、ようやく、オリジナルの作品が誕生したそうです。コンサートの前半は、そんな苦労の末に出来た曲を中心に聴きました。当時は新作でしたが、今では世界中のコンクールの課題曲となっている程普及している曲だそうです。(安倍 圭子:古代からの手紙、三善 晃:トルスⅢより「テーゼ」、田中 利光:マリンバのための二章より 第1楽章、末吉 保雄:ミラージュ〜マリンバのための〜、三木 稔:マリンバ スピリチュアル)

後半は安倍さんの創った曲を聴きました。(道Ⅱ、祭りの太鼓、風紋Ⅱ、わらべ歌リフレクションズⅢ〜2台のマリンバと二人の打楽器奏者のための〜)

全身で風景や心象を表現する演奏は、エネルギッシュで、ダンスを見ているかのようです。マレット(バチ)の素材によって、出てくる音色が全く違うのがおもしろく、時には足に鈴を付け、手首にはマラカスのような打楽器をつけて表現する姿にビックリしました。

桐朋学園大学の打楽器科の教授と学生さんとの共演も多かったのですが、安倍さんを中心に一体となっていて見事でした。

先生として、世界中を教えて回ってもいらっしゃるそうです。学生さんに教える方法のひとつとして、面白い方法を披露してくださいました。ヨーロッパの先生方はあまり取らない方法だそうですが、安倍さんは、学生さんに少し音楽が足らないな、とか、世界観が違うな、と感じると、その学生さんと一緒に演奏をするのだそうです。全く同じ音を演奏するだけではなくて、即興で音楽をリードしていくのがコツのようです。特に日本人の作曲した曲を演奏するわけですから、日本特有のお家芸の要素はヨーロッパの学生さんには特に理解が難しいのかもしれませんから、そうやって伝えていただけたらよく理解できるのだと思います。その方法で伝えると、日本の学生さんでもヨーロッパの学生さんでも、自然と音楽が広がって、表現が大きくなるのだそうです。

それから、こんなこともおっしゃっていました。初めてヨーロッパに行った時に、不動の様相で立ちはだかる石の文化の前に、紙と木の朽ちる文化の中で暮らしてきた日本人である自分がどうしたらよいのか、わからなかったそうです。でも、日本人としての原風景と、その中で過ごした満ち足りた子ども時代が自分を支えてくれて、海外でも共感を呼ぶ演奏をすることに繋がっているのだそうです。

マリンバは日本から発信される要素が多いようですが、一般にクラシック音楽というとヨーロッパのお家芸です。ですから、ヨーロッパの文化や風習や音楽のルールを学ばなければなりませんが、日本人としての遺伝子に誇りをもってうまく融合させていくというのは素晴らしいことだな、と感じました。マリンバという楽器と、安倍圭子さんという素晴らしい音楽家を通して、自由で解放された音楽の世界を堪能することができました。一流の人から放たれるエネルギーが会場に充満していて、そのパワーに触れることができて幸せな晩でした。アンコールで演奏されたドナドナのメロディーの変奏曲(曲名がわかりません)が心に染みました。

このシリーズの次回は1月9日。若手ピアニストの小菅 優さんの演奏とお話を聴く予定です。

レジス パスキエ

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IMG_1439先週金曜日(16日)に東京文化会館小ホールで、レジス パスキエのレクチャーコンサートを聴きました。

プログラムは、フォーレ、ドビュッシー、ラベル、サン サーンスのヴァイオリンソナタでした。レクチャーコンサートなので、お話が間に入っています。

録音では何度も聴いていますが、生演奏は初めてなので、何日も前から楽しみにしていました。

フランスの至宝、と称えられているのは知っていましたが、本当に何から何まで素晴らしくて、なんと表現してよいかわかりません。

演奏は、すごく良かった!!としか書けません。なので、お話してくださったことについて書きます。

パスキエのお父さんは1902年の生まれだそうです。パリ高等音楽院の校長先生もされた音楽家だったそうです。それで、ドビュッシーとお知り合いだったり、その時代の名だたる音楽家がとても身近な存在だったそうです。パスキエはそんなお父さんから、音楽家たちのお話をたくさん聞いたそうです。

フォーレは、ラベルの先生でやはりパリ高等音楽院の校長先生をしていたそうです。フォーレの音楽がとても複雑なのは、フォーレが化学好きだった事と関係があるそうです。ベートーヴェンと同じように耳の病気にかかってしまい(同じ病気ではないそうですが)、だんだん耳が聴こえなくなっていったそうです。そのことがハーモニーのサイエンスに繋がっていったそうです。

ドビュッシーは、フランクの弟子だったそうです。パスキエのお父さんはドビュッシーの話をよくしたそうです。フォーレとは全く違い、情景を音にした音楽家であり、フランクから教わったことと全く違う方法で作曲したがったそうです。海が好きで、一日中ノルマンディーの海を見て過ごすこともあったそうです。その時代のクラシックな書法に反抗して、新しいスタイルを創ったところは、ロートレックと似ている、とおっしゃっていました。

ラベルは若い頃に体が弱かったために、音楽家として活躍した年数は短いのですが、世界中で最も知られている作曲家ではないですか?ボレロのおかげで。と笑わせてくれました。多くの文豪家と交流があって、ミステリアスで、オーケストレーションがうまくて、とにかくと〜ってもいい人だったそうです。このヴァイオリンソナタは、3楽章あるけれども、3つが全然違う内容になっているのが面白いとおっしゃっていました。1楽章は夢を見ているよう、2楽章はジャズ、3楽章はト長調のピアノコンチェルトにとてもよく似ていて、ほとんどピアノがメインでヴァイオリンはずっと細かい音を弾いている、のだそうです。

サン サーンスは、ベートヴェンが大好きで、それでマドレーヌ寺院のオルガニストになったそうです。書法はドビュッシーのように新しい方向を目指したのではなく、とても正統派。そして、様々な楽器のための曲を作っています。小さい頃は天才児と呼ばれたそうです。サンサーンスの晩年のエピソードです。子どもだったレジスさんが、とあるピアノが置いてあるカフェでお父さんといた時のこと。お客さんとして来ていた老人がおもむろにピアノを弾き始めたそうです。その人がサンサーンスだったそうです。サンサーンスは、評論家としても活躍したそうですが、好きな音楽家のことは応援したそうですが、嫌いな音楽家のことは平気で悪口を書いたそうです。

もしかしたら、記憶違いなところもあるかもしれませんが、こんなお話をしてくださいました。

パスキエの話し方は、声が優しくて、心がこもっていて、とても落ち着くリズムがありました。フランス語はわからないけど、きっと、人柄も音楽と同じように円熟した素晴らしい方なのだろうなと感じました。

ピアニストは池田珠代さんとおっしゃる、若い日本人の女性でした。パリで活躍されているそうで、通訳もしてくださっていました。繊細な感じで、出過ぎず乱さず、でも、しっかり主張してパスキエと対等に音楽していて、すごいなと思いました。

アンコールにはラベルのハバネラを弾いてくれました。おやすみなさいのかわりに弾きます、、、というステキなコメント付きでした。

パスキエの演奏会が、12/4に横浜市港南区の上大岡にある、ひまわりの郷というホールであるそうです。お近くにお住まいの方はぜひ、聴きに行ってみてください!!こんな大家の演奏を、近所で聴ける機会はそうそうないと思います。モーツァルト、シューマン、バルトーク、ラベルの曲を演奏されるようです。(問い合わせ 045-848-0800  ひまわりの郷)

音の花束

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4月になりました。桜も咲き始め、ジンチョウゲのよい薫りがする季節になりました。

昨年末から準備をしてきたコンサートがいよいよ来月に迫ってきました。

このコンサートは、nagomiのメンバーのピアニストの長島さんが同級生の方々と定期的に行っているものですが、今回はぜひトリオで、とクラリネットの大迫さんとわたしに声をかけてくださって実現するものです。

ヴィオラのソロ、ソプラノの独唱、そしてトリオによるジョイントコンサートです。

きれいな花束になるように進化中です。

鎌倉で初雪

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DSC_0257一週間前の今日はコンサート前日で、緊張と不安にうち震えて過ごしていましたが、今日はうって変わって楽しく過ごすことが出来ました。開放感、全開です!

生徒さんの室内楽の演奏会を聴きに、鎌倉にある生涯学習センターへ行ってきました。

所属しているアマオケの中でグループを組んで、好きな曲を練習して発表する会でした。12組のアンサンブルが出演していましたが、どの演奏も音楽が好き、という気持ちにあふれていて、楽しい時間でした。わたしには趣味と言える程好きなことがないので、仕事をしながら、さらにあんなに打ち込めることがある人の許容量が羨ましく感じられます。わたしは音楽だけでいっぱい、、、もし他に打ち込めることを持っていたら、毎日が変わるのでしょうか?

せっかく鎌倉に来たのだから、と久しぶりに鶴岡八幡宮に足をのばしました。歩いていると、ちらちらと雪が降ってきました。だんだん本降りになって、一時は視界が悪くなる程でした。寒かったけれど、久しぶりの雪が新鮮でした。昨年、倒れてしまった大銀杏の株を見ました。人間の寿命よりはるかに長い樹木の命。太い幹の銀杏の株をみて、小さな芽がこんな大きさになるまでの年月を考えましたが、よくわかりませんでした。自然とは人智を超えた存在なんだなと感じました。

鎌倉を歩いていると、多くの人が鳩サブレの紙袋を手に持っているのを見かけます。そのせいなのか、つられるように鳩サブレの豊島屋本店に入って、本店だけで売っている商品などを見てきました。二階に、豊島屋の歴史などが展示してある部屋がありました。絵や陶器、鳩だらけで面白い部屋です。

その後、稲村ケ崎にあるBillsというお店へ。世界一美味しい朝ご飯の店、として有名なのだそうです。海に面した素敵なお店でした。

コンサート終了

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おかげさまで、24日にコンサートが終了しました。

寒い中、聴きに来てくださったお客様に、感謝申し上げます。ありがとうございました。

無我夢中で全てのプログラムを演奏した2時間でした。新しい課題が沢山見つかり、また次の何かに向けて勉強しなければならなくなりました。感謝なことです。

今回は、大曲ばかりを選んでしまったので、練習は本当に苦しかったです。弾くだけで精一杯、、、でも、それでは音楽ではない、、、しかもアンサンブル!!本番の日が近づいてくるにつれ、苦しさはどんどん大きくなりました。苦しんだなりの演奏は出来たと思います。でも、やっぱり自信のないことは本番では出来ないです。メンタル面は昔に比べたらずいぶん強くなりました。それでも、練習で出来たことが本番で出来ないことがあるのです。これは自分を信じていないからです。無意識の中で疑っているから出来ないのでしょう。これからはまた、そんな自分との闘いが始まります。

素晴らしいチラシとプログラムを作ってくれた同僚のSさん、丁寧に楽器のメンテナンスをしてくださった楽器屋さん、忙しいのに時間を割いて来てくださったお客様、心身ともにサポートしてくれた家族、、、今回も大勢の方に支えられて良い経験をさせていただきました。

コンサートが終わって今日で3日目。まだ、興奮状態にあるようで、夜はほとんど眠れません。今日は眠れるかな。。。

24日コンサート

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構想すること1年半。やっと本番の日が近づいてきました。

ヴィオラを弾く高橋映子さんと2008年の6月に鎌倉にあじさい見物に行きました。その時に、何か演奏会を企画したいね、と話し合ったのが始まりです。コンサートのタイトルを決める時、その時のあじさいを思い出したことと、ちいさな花が集まってひとつの見事な花となっているあじさいのように、音楽を愛する人が集まってひとつの音楽を創りたいね、という想いが重なったので、スペイン語でHortensia (あじさい)と付けました。

高橋さんは今は都内に住んでいらっしゃいますが、出身は横浜市栄区です。わたしは都内で育ち、今は栄区に住んでいるので、不思議なご縁を感じます。

ヴァイオリンとヴィオラの曲と、ピアノが加わるトリオの曲で構成します。トリオはレベッカ クラークとタイユフェールという二人の女性作曲家の曲を演奏します。なかなか演奏されることのない、珍しい曲です。

会場は丸ノ内線新高円寺駅からすぐのスタジオSKというギャラリーです。サロンコンサートのような規模の小さなコンサートとなりますが、第1回目なので、わたしたちにはちょうど良い広さかな、と思っています。

寒い時期ですが、お時間がありましたらお出かけくださいませ。

あと20日、ラストスパートです!