中学生だったか高校生だったか忘れてしまいましたが、学生の頃に読んだことがありました。多分、読書感想文を書かなくてはいけない、などの理由で読んだのではなかったかなと思います。義務で読まされた本だけあって、さっぱり内容が思い出せません!はてどんなストーリーだったかな?と手に取ってみたら鎌倉の海の場面から始まっていたので、興味がわいて買ってきました。
感想は、、、
中学生や高校生のわたしにこの本の内容が理解できていたのだろうか?
です。
もちろん、文章を読むことは出来たでしょうが、この本の中に出てくる「先生」と「私」の身の上に起こったことや、心に抱えた悩みや傷を感じることが出来たのかどうか疑問です。きっと、浅〜い感想文を書いたのだろうと思います。
大人になって、それなりにいろいろな挫折や失敗を体験した今になって読んでみると、この本は面白くて仕方がありませんでした。
「先生」って何をしている人なの?この人柄の暗さは何かやらかしちゃったからなの?奥さんは幸せなの?「私」はどうしてそんなに先生に興味があるの?そんなに他人のご家庭に入り込んでしまって、迷惑ではないの?お父様の具合は大丈夫?お父様の病名は結局何なの?お金は大丈夫?就職はできるの?etc.読んでいる間、次から次へと心配になって、続きが気になって気になって!!そして、解るわかる、そうだよね、えっそんな意地悪しちゃうの?!、それは相手が傷つくでしょうよ、と感情移入してあっと言う間に読み終わりました。
やりきれないラストですが、「先生」というひとりの人間の人生をそれなりに一緒に全うして、どこか清々しい後味が残りました。
青年期特有の友人同士の情や駆け引き、恋の始まる直前のあの感じ、若くなくなった時期に味わう後悔ややりきれなさ、きっと誰もが感じることを率直な言葉で教えてくれる気がしました。
どんな時代でも人のこころは変わりないのですね。