顔と音

標準

5G9A0463音楽は音の連続です。ヴァイオリンは、リズム、音程、ハーモニーという音楽の三要素に加えて、音色が大切です。わたしの所では、レッスンの始めにボウイングの練習として、AかDの音を四分音符、二分音符、全音符、と弾くことを行っています。楽器を鳴らして、良い音を探す習慣をつけてもらいたいと思って、行っています。

この練習は、他の先生から移って来られた方には、不思議なようで、なかなかひとつの音を集中して弾くことをしてくれません。すぐに中止して、なんで同じ音ばっかり弾くの?というような顔でわたしを見たりします。それでも、よい音、という感覚が身に付いていらっしゃれば、それでよいのですが、音に無頓着に弾いてしまうことが習慣になってしまっている場合、その練習を習慣にしてもらいたいのですが、なかなか伝わりません。

ただやりなさい、といってもつまらないからしないのですね。

自分の音を聴きましょう、とか、良い音で弾きましょう、と言うだけでは生徒さんには伝わりません。どうしたらわかってもらえるのかな、と長い間考えてきました。そして、こんな伝え方はどうだろう!と思って、話し始めたのが、顔と音の話です。自分の顔は、決して自分の肉眼で見ることはできません。音も、自分の音を楽器から離れて聴くことはできません。この共通点から考えついたことです。

わたしたちは朝起きて、学校や仕事に行く前には必ず、顔を洗って、髪を整えます。鏡を見て、清潔に、さらにきれいに見えるように、そして何よりも、他の人に不愉快を与えないように整えます。自宅から外に出かけて行く時の自分の姿に、責任持つということです。それと同じで、音もゴミの付いていないすっきりとして、美しく、他の人に耳障りでない音を出すことが、マナーであり、責任なのではないでしょうか。

小学生以上の方には、この話をしてみています。言葉や、話し方は年齢に応じて変えています。中学生くらいになると、大体の方は理解してくれるようです。そして、丁寧にボウイングの練習をするように努力を始めてくれます。

良い音は、自分の耳で自分の出している音をよく聴けるようになれば、必ず見つかります。自分の音に耳を傾けることが美しい音への第一歩です。

弾く、という運動の方に気持ちが偏って、きれいな音を出す、という、音楽することにまで意識が行き届かないのは、もったいない!楽器を弾く楽しみを半分しか知らないままではもったいないです!!良い音を目指すことを忘れないでほしいのです。

きっと、もっと良い伝え方があると思うので、考え続けていきます。

(以前の写真は、文章と無関係なものを掲載しておりましたが、誤解を招く恐れがあるため変更いたしました。おわび申し上げます。)

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