初等教育の重要性

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4月になりました。

わたしの勤める音楽教室では、毎年4月1日に講演を聞きます。今年はあざみ野でいわゆるお受験塾を経営していらっしゃる、野笹玲子さんのお話でした。

教育(education)の語源は、引き出す、なのだそうです。野笹先生は2歳から6歳のお子さんの受験のお手伝いをしていらっしゃるそうですが、この引き出すということを中心にして、教育を行っているというお話でした。

五感の中で一番始めに発達するのは聴覚で、お母さんのお腹の中にいる時から、耳が聞こえているのだそうです。生まれてから、視覚、味覚、臭覚の発達が始まるそうで、2歳までは受動的な知識を主に習得するのだそうです。3歳くらいから、自我が芽生えるので、この時期から幼稚園に通ったり、習い事を始める、といった教育が始まることになっているそうです。幼稚園の年少さんが3歳なのにはこんな理由があるのですね。

わたしは音大生だった一時期、お受験塾でアルバイトをしていたことがあります。勉強だけではなくて、体操や歌、お行儀まで、かなり厳しく教えているのを見て、すごい世界だな〜と感じていましたが、野笹先生のお話によると、その時期に学ばせることは子どもの成長にとてもよいのだそうです。

人間の記憶力は3歳から9歳までにしか成長しないのだそうです。この時期に訓練をしないと手遅れだとか。。。だとしたら、この時期に能力を伸ばす努力をさせない理由がないですね!でも、子どもはひとりでは学べないので、ご両親や先生の力を借りて、楽しく勉強する環境を整えることが大切なのだそうです。

学び始めは、ほめてほめて意欲を引き出し、少し成長して向上心が出てきたら、少しずつ難しいことに挑戦させて、出来たら盛大に褒めてあげるのだそうです。

先生はただ勉強ができれば良いのではなくて、知育、徳育、体育、の三位一体の教育を目指していらっしゃるそうです。知育とは、話しを聞く力や思考や判断をする力を育てること。徳育とは、お友だちと仲良く譲り合ったり、協力しあったりできるようになること。体育は身体の発達と健全な生活をすることに加えて、諦めないことや努力することや頑張れる心を育てることだそうです。

音楽教育は、この知育、徳育、体育をバランスよく成長させるのに役立つだけでなく、感覚教育や情操教育にも有効で、さらに楽器演奏は指先を使うので前頭葉への刺激をしていることになり、とても良いのだそうです。良いことばかりですね!

最近の子どもの特徴についてのお話がありましたが、ここはとても興味深かったです。

「外遊びは何が好きですか?」「ぶらんこ」「では、お部屋の中では何をしますか?」「ブロック」

こんな会話になってしまう子どもが増えているそうです。主語と述語がないということです。これは、お母さんとのコミュニケーション不足や、テレビやゲームなど会話をしなくても遊べてしまう遊びの普及などの原因もあるそうですが、本を読んでもらったり、自分で読むことが減っていることが原因のひとつなのではないか、とおっしゃっていました。先生の教室では、本を読む時間を取り入れているそうですが、続けていると、前述したような会話しか出来なかった子どもでも変わるそうです。

「外では、ブランコで遊ぶのが好きです。風が気持ちがよくて楽しいからです。」こんなふうに答えられるようになってくるそうです。

それから、こんなお話もありました。幼児期の子どもが泣くのは現実逃避したい時だけ、なのだそうです。悲しくてとか悔しくて、ではなくて、ここにいるのが嫌だとか、勉強するのが嫌で泣いているので、そこで教える側が動揺してはいけないそうです。そこから逃げないで、やり遂げられるように手を貸すのが教育だそうです。

3歳から小学校を卒業するまでが初等教育と括られるそうですが、この時期の教育、特に3歳から6歳くらいまでの教育というのは大事なのだ、ということをあらためて学びました。

その年齢の子どもたちとまさに関わっている自分の責任の重さも、あらためて感じたお話でした。

ヴァイオリンを教えていて、「この曲どう感じる?」と聞いても「明るい」とか「暗い」とか、

ヴァイオリンを3歳から始める方も多いのですが、3歳というと、まだまだ体もふにゃふにゃで、言葉もはっきりしない人が多いな、と感じていましたが、この時期に音楽を始めることはとても良いことなのですね。