12月の一週目、ザハール ブロンの公開レッスンが行われていました。
名教師として知られている先生のレッスンを生で見られること、受講生たちが将来有望な可能性をたくさん秘めた若者たちであること、など興味がわいたので、二日間聴講してきました。
受講生の方たちは、いろいろなコンクールで上位に名前を連ねる方々で、さすがに上手です。きっと何度か本番を重ねて、自分なりに消化している曲を持って来ているのでしょう。立派に自信を持って弾いています。そこに先生はもっとよくなるように、細かく丁寧に指導をしていきます。時にはものすごい至近距離で左手を観察し、ちょっとしたクセを指摘したり、ヴィブラートのスピードを指示したり。反対に遠くから眺めて、姿勢を直したり、フィンガリングを提案したり、曲全体の流れを整えたり。受講生たちは優秀なので、どんどん変わっていきます。1レッスンはたったの40分なのですが、音がどんどん変化していきました。
印象に残ったことは、コンチェルトであっても、オーケストラパートをよく勉強して、ハーモニーやリズムを融合させるように指導していたことです。ソリストの立場であっても、アンサンブルすることは忘れてはいけないということでしょうか。ヴァイオリンは、ひとりで練習し、ひとりで発表会などで弾くことがほとんどなので、小さい頃からピアニストに合わせてもらうことが当たり前になってしまいます。素晴らしいピアニストであればあるほど、どんなにわがままな演奏であっても合わせてくださるので、それで良しとしてしまいます。でも、本来はアンサンブル楽器であり、他の楽器と融合出来る方が良いのです。若いうちにそのことを知ることは、大事なことなのですね。
偉大な指導者と高い能力を備えた若者の、刺激溢れる時間でした。